• 弁護士角田進二

アーティストのための相続準備

最終更新: 3月14日



1.アーティストは忙しい

アーティストは非常に多忙です。自分の死ぬことなど考えていないケースもあります。

でも、考えてみると非常に奇妙なことです。ご自身のアートは、大体のケースでは死後に評価が決まるものです。

ゴッホは、死後に評価され、世界的なアーティストとして高値がついています。

幣事務所は、アーティストとお付き合いすることがあり、7億円程度の絵画の処理なども対応したりしております。アーティストだけではなく、コレクターなどにも当てはまるのですが、相続人がその芸術的な価値を理解しないケースは多くあります。後になって、相続税の評価がきまり、故人を恨むケースも沢山あります。


アーティストはそれでも死後のことを考えなければならない。


2.アーティストは死後どのように評価されたいのか考えておくべき

アーティストは、まず自分の作品をどう整理するかを考えるべきです。幣事務所で見つけたものですと、アーティストがあるメモを残していました。美術館を残したい。一つの場所に自分の作品を残したいと。これがどれくらい贅沢なことか、芸術家の人はわかるでしょう。美術館は、保存コストがかかるために、限定作品以外は寄付されたくないということは普通です。世界的に評価されていない画家の方はほぼ無理な話です。幣事務所では幸い世の中に知られている画家であったこともあり、何とか寄付することは可能でした。


美術館を作るためのポイントは以下の通りです。

①その美術館とは定期的にコンタクトをとり、貢献関係があること(希望だけでは難しい)

②世界的に知られている画家であること

③支持者がその土地にいること。すくなくても政府関係者がその貢献を認めていること


勿論、私設美術館を持つことも可能ですが、それもパトロンを見つけ出すしかありませんので、早い時期にそのような候補者と話しをつけておく必要があります。


3.評価は高いものを残しておく(一定程度流通させておく)

絵画などの評価は、生きているときからそれなりのものになっていない限り、紙くずの様になってしまいます。鑑定士がしかるべく評価をしてもらうには類似のものが市場に流通している必要があります。その意味でそれなりに流通していることが大事です。


4.死後売れるものを残しておく

困るのは、売れるものがなく、評価が低い物しかない場合です。売る場合、通常競売などをかけたりします。その際、鑑定書などをつけてもらう必要があり、その値段は一枚当たり●●円と結構お高いものがあります。万が一、100万円とかその程度のものしかないと●●円の評価をしてもらう価格が高く感じてしまいます。


ササビーズ、クリスティーズなどでも、良い絵は売られますが、それ以外は見向きもしません。代表作がないと、その作品に併せて他の商品を売ることができないというのが現実です。キャッシュフローがない限り、その作品たちを展示することも、販売することもできず、かつ、何よりも相続税すら払えず、相続人から一生恨まれることになるでしょう。


纏めてオークションをかけると、希少価値が落ちるため価格が下がります。それは後世の評価にも影響を及ぼします。よって、オークションでは少な目にしておいた方が良いです。逆に、売れないが、記録用に残すものをなるべく美術館に寄付することになります(有名な作品もあわせないと引き受けてくれないので注意を要する)。


相続財産は、換価できるものと換価しにくいものがあります。もし、相続人が多数いる場合、換価しにくいものを押し付け合い、結果的に時間を費消してしまう場合があります。

相続財産が金銭などの流動資産だけではない場合、キャッシュフローをできるだけ意識して、換価しにくいものをできるだけ早く処分することが大事です。

絵画その他の芸術品は、保管だけでもお金がかかります。税金の支払いは待ってくれません。速やかに支払う必要があります。換価しやすいものを探し、それを換価しつつ、かつ、適切な売り場などに行って、売れるものを売る、寄付するべきものを売るなど速やかに判断する必要があります。

そのための明確なプランがあれば、複数の相続人も安心して換価手続終了を待ってもらえるでしょう。


5.著作権委員会を作る形にする。

それぞれが著作権の行使について意見を出し、相続人がまとまらないとブランド価値は維持できません。

シャガールやピカソその他の有名な画家には相続人がまとまり意見を統一できるように配慮するように著作権委員会は作っておいた方が良いです。

自分の死後から本当の自分の名声は築くことが可能です。優秀な相続人を育成することは大事なことです。


6.国は信用しすぎない

相続税は莫大なものになる可能性があります。たまに、物納を許容するふりをして、後で拒絶をし、滞納税などを請求するケースもあります。

自らイニシアティブをとり、ケースバイケースで物納という魅力的な案に依存しすぎないようにすることが大事です。


7.名声を維持するには

名声を維持するには、著作権の維持だけではなく、商標権などをとられた方が良い場合もあります。

地方創生の名で、作家の名声のみフリーライドするケースも多発します。大事なのは、使わせないことではありません。寧ろ、使っても良いのだが、名声を維持できるようにコントロールできるようにしておくことです。

2次著作、マーチャンダイジングも含めて検討する必要があります。今の時代、SNSという形もあり、リブランディングもそれなりに必要です。


以上を含めて、相談に乗ります。以下のリンクをクリックして、ご相談ください。

https://ailaw.co.jp/contact/






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