今回は平成23年度税制改正についてお話ししたいと思います。

さて、平成23年度税制改正は震災などの影響により当初掲げられていた税制改正法案のうち一部が分離成立し、残りが見送られました。(図1)

図1
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この分離成立した法案の中には、改正案で注目されていた下記の法案などは含まれておりません。
また、下記の法案などは審議中でいつ成立するかはわからない状況です。
1.相続税の基礎控除の引き下げと税率構造の見直し
2.贈与税の税率構造の緩和
3.相続時精算課税の対象範囲の拡大

なお、可決、施行された法案の内容につきましては、次回以降で詳しく解説することにいたします。

~参考URL~
財務省HP: http://www.mof.go.jp/about_mof/bills/177diet/index.htm
   相続や贈与により取得した建物や家庭用財産、自動車等が、申告期限前に災害により被害を受けた場合で下記いずれかの要件を満たす場合には、災害減免法の規定により、被害を受けたこれらの財産の価額から、被害を受けた部分の金額を控除して相続税や贈与税を計算することができます。つまり、被害を受けた部分は課税価格から除かれることとなります。 map00.bmp map06.bmp
2.被害額が不明な場合
 ①保険金等の補てんがない場合
  被害を受けた財産について保険金等の補てんがない場合には、「別表1」により被害割合を
 算定することとなります。

 ②保険金等の補てんがある場合
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 ア.建物
  ①取得価額が明らかなときは、取得価額から償却費相当額を差し引いた金額
  ②取得価額が明らかでないときは、「別表2」地域別・構造別の工事費用表の1㎡当りの
   工事費用に総床面積を乗じた金額から償却費相当額を差し引いた金額

 イ.家庭用財産
  ①取得価額が明らかなときは、取得価額から償却費相当額を差し引いた金額
  ②取得価額が明らかでないときは、「別表3」家族構成別家庭用財産評価額により算定
   した金額

 ウ.車両   取得価額から償却費相当額を差し引いた金額

 エ.その他
  農機具及び船舶等の事業用(農業用)財産の価額は、ウに準じて計算した金額

   (償却費相当額については、国税庁ホームページをご参照ください)
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<家屋の評価>
 相続税の課税価格に算入される家屋の評価額は固定資産税評価額となります。
しかし、このたびの震災により被害を受けたことにより、下記のように評価額が減額される
こととなります。

・取得価額が不明なため、別表2から取得価額を計算
 (物件の所在地は宮城県とし、木造、減価償却費5,600千円と仮定します。)
 (取得価額)146千円×100㎡=14,600千円
 (取得価額―減価償却費)9,000千円

・被害割合の計算
 (別表1より「建物・半壊」として50%を適用)
 (9,000千円×50%―900千円)/9,000千円=0.4

・被害を受けた部分の価額の計算
 家屋10,000千円×0.4=4,000千円

・家屋の相続税評価額
 10,000千円―4,000千円=6,000千円



「別表1」

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「別表2」
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「別表3」
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 東日本大震災の発生に伴い、青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県の5県については、3月11日以降に到来する国税に関する申告・納付等の期限の延長を行ない、延長期限については、別途国税庁告示で定めることとされました。

 ここで、上記の5県のほかに、栃木県、千葉県、新潟県一部、長野県一部を加えた9県については、震災前の相続等でも、申告期限が震災後の場合に震災後を課税価格の基準とする特例の対象地域となっております。

 そして、この課税価格の特例を受ける場合には、申告期限は平成24年1月11日まで延長されます。具体的な、課税価格の特例を受ける場合の申告期限延長のパターンと申告期限は、以下のようになります。

 なお、申告・納付等の期限が延長されている青森県および茨城県の期限が、平成23年7月29日に決まりました(平成23年6月3日告示)。そのため、個別申請により申告期限の延長をしていない場合で、課税価格の特例の適用を受けない場合には、平成23年7月29日が期限となります。他方、課税価格の特例の適用を受ける場合には、指定期限(平成23年7月29日)ではなく、平成24年1月11日が申告期限となります。

<課税価格の特例とは>
 東日本大震災が発生したH23年3月11日より前の相続で、震災後に申告期限が到来する場合に、特定土地等または特定株式等を取得した場合に、震災後を基準とした価額で評価する特例をいいます。

<特定土地等、特定株式等とは>
 特定土地等は財務大臣が指定する地域の土地等、特定株式等は財務大臣の指定地域内にある一定の動産および不動産等の価額が3割以上を占める非上場会社の株式等をいいます。

<申告期限>


  課税価格の特例を受ける場合の
申告期限延長のパターン
申告期限 備考
被相続人の住所地が被災5県(青森、岩手、宮城、福島、茨城)の場合(3/15告示) ・指定期限がH24年1月11日より前
→H24年1月11日

・指定期限がH24年1月11日より後
→指定日
【被相続人が被災5県の場合】
個別申請により申告期限を延長している場合 【被相続人が被災5県以外の場合】
指定地域(青森、岩手、宮城、福島、茨城、栃木、千葉、新潟一部、長野一部)の特定土地等、特定株式等を取得した場合で、①、②以外の場合(4/27告示) H24年1月11日 【相続財産が指定地域9県にある場合】
相続人のうち一人が特例を受ける場合には、全員の申告期限がH24年1月11日まで延長される。

震災シリーズ第3回目は、第2回目で概要をご説明いたしました「特定土地等・特定株式等の特例」について、具体的にご説明したいと思います。

 

【災害減免法と震災特例法】

 震災により相続財産や贈与財産が甚大な被害をうけた場合、相続税や贈与税を計算するうえで、相続財産の額や贈与財産の額を減額することができる特例措置があります。

 その特例措置には、 "災害減免法"によるものと"震災特例法"によるものがあります。

 "災害減免法"は、物理的損害に対して行われる措置に対して、"震災特例法"は、経済的損害に対して行われる措置といわれています。

 では、"災害減免法"による特例措置とはどのようなものでしょうか。

 相続時や贈与時には土地・建物などは正常な状態で、申告期限前に大震災で被害を受けた場合には、財産額から物理的損害額を控除して、相続税や贈与税を計算することができる、という措置です。

 しかし、この"災害減免法"による措置は、物理的損害は考慮しておりますが、震災による経済的損害は考慮しておりません。

 東日本大震災では、広範囲の地域において津波や地震による甚大な被害を受け、経済活動に支障をきたし、社会的環境も大きく変化しました。それに伴う地価の下落のような経済的損害も考慮しなければなりません。

 この"災害減免法"によりカバーしきれない経済的損害を手当てする措置が"震災特例法"による措置です。

 (災害減免法による特例措置については、シリーズ第5回でご説明いたします。)

 

【震災特例法による措置 ~特定土地等・特定株式等の特例~】

<趣旨>

 「特定土地等・特定株式等の特例」は、"震災特例法"による特例措置です。

 相続税の計算上、相続により取得した財産の価額は、原則として相続開始日の時価となります。しかし、今回の東日本大震災のように広範囲にわたり被害を受け、社会的環境及び経済的環境が一変すると、当初予測もできない地下の下落が現実に起きてしまします。震災日の前後で不動産の時価が大きく変わってしまうと、震災日前に相続がおきて、これから相続税の申告をしようとする方は、震災日前の高い時価で相続税を計算しなくてはなりません。

 また、法人の株式の場合においても、法人の有する資産が震災により相当の被害を受け、通常の経済活動が出来ない状態が続いて状況では、震災前の法人の利益・配当・簿価純資産等をもとに評価した株価で相続税や贈与税を計算することは、納税者の大きな負担になります。

このような割り切れない不公平感を抱くことを避けるために「特定土地等・特定株式等の特例」が設けられました。

 

<特例の内容>

それでは、特例の内容をご説明いたします。

「特定土地等・特定株式等の特例」は、①相続税の特例と②贈与税の特例があります。

 

①相続税の特例は、平成22年5月11日から平成23年3月10日までの間に相続(又は遺贈)により取得した「特定土地等」(1)又は「特定株式等」(1)の相続税を計算する際の価額は、その相続したときの時価ではなく、震災後を基準とした価額にすることができる、というものです。

 

②贈与税の特例は、平成22年1月1日から平成23年3月10日までの間に贈与により取得した「特定土地等」(1)又は「特定株式等」(1)の贈与税を計算する際の価額は、その贈与したときの時価ではなく、震災後を基準とした価額にすることができる、というものです。

(※1)震災日(平成23年3月11日)において所有していたものに限ります。よって、震災日前に売却し、震災日おいて所有していないものは含まれません。

 

本来であれば、相続開始時や贈与時での価額に基づき相続税や贈与税を計算しなければならいのですが、震災後を基準とした価額に基づいて計算することができます。

 「震災後を基準とした価額」の具体的計算方法については、後日国税庁のHP等で公表される予定です。

 

<イメージ図>

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震災シリーズ第2回~課税価格の計算の特例(概要)~

震災シリーズ第2回~課税価格の計算の特例(概要)~

 

相続税は、被相続人が所有していた財産の、相続開始時点の価額を基に計算されます。

しかし、相続開始後に震災があった場合、相続開始時点においては価値のあった財産も震災により直接又は間接に被害を受け、価値が大幅に下落したり、原状回復に相当な費用を要する可能性がございます。このような場合に、原則通りの評価に基づき相続税の課税を行うことは納税者に多大な負担を強いることになるため、一定の財産(「特定土地等」又は「特定株式等」)を相続した場合には課税価格の計算において特例が設けられました。

 また、贈与税についても同様の特例が設けられております。

 

<用語の意義>

1.     特定土地等:東日本大震災により相当な被害を受けた地域として財務大臣の指定する地域(以下、「指定地域」)内にある土地等をいいます。

2.     特定株式等:指定地域内にある一定の動産及び不動産等の価額が保有資産の合計額の10分の3以上である法人の株式等(上場株式等を除く)をいいます。

3.     指定地域:以下の地域をいいます。

 

都道府県

指定地域

青森県

全域

岩手県

全域

宮城県

全域

福島県

全域

茨城県

全域

栃木県

全域

千葉県

全域

新潟県

十日町市、中魚沼郡津南町

長野県

下水内郡栄村

 

 

特例の具体的な内容につきましては、次回以降にご説明いたします。

★震災シリーズ第1回~申告・納付等の期限延長~


この度の東日本大震災により被害を受けた皆様方に、心からお見舞い申し上げます。

平成23427日に、東日本大震災の被災者等の負担の軽減等を図るため、「東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律」(以下、「震災特例法」といいます。)が施行されました。

れに伴い国税庁ではこの震災特例法や既存の税制において東日本大震災により被災された方に適用される各種の税制上の措置に関する情報が掲載されました。

そこで今回は、相続税・贈与税について法令の取り扱いをご説明申し上げます。

少しでも被害にあわれた方のお役に立てればと思っております。

 

【申告・納付等の期限延長について】

今回は、申告期限の延長制度についてご説明したいと思います。

震災により被害を受けた方は、次の区分により、申告・納付等の期限が延長されることとなりました。

なお、1と2のいずれにも該当する場合には、いずれか遅い日が期限となりますのでご注意ください。

 

1.納税地による期限延長

(1) 地域指定の場合

納税地が【青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県】の方は、申告・納付等の期限が自動的に延長されることとなりました。具体的な期限が公表されましたらその期限までに申告・納付等を行うこととなります。

 

() ① 相続税の納税地は、原則として、被相続人の死亡のときの住所地となります。

② 延長後の期限は、別途国税庁ホームページ等で公表されることとなりますが、平成23531日現在は公表されておりません。

なお、現在国税庁のホームページに掲載されている情報では期限の延長について、「被災者の状況に

十分配慮して検討していくこととしています。」と公表されています。

そのため期限は比較的、余裕を持たせたかたちで公表されることが期待されます。

 

(2) 個別指定の場合

(1)以外の地域に納税地を有する方であっても、震災により申告等をすることができない場合には、自主的に申請書を税務署に提出することによって申告・納付等の期限の延長を受けることができます。

  例えば、被相続人の死亡のときの住所地が上記の地域以外にあっても、相続人等が震災により期限までに申告等ができないときは、申請により、当該相続人等に係る申告等の期限が延長されます。

 

  この申請は、原則として災害のやんだ日から1ヵ月以内に納税地の税務署に提出しなければ申告期限の延長を受けることはできません。

  そのためこの取り扱いを受けられる方は、国税庁から具体的な期限が公表されましたら、公表された日から1ヵ月以内に申請書を提出することによってこの取り扱いが受けられるかたちとなります。

  また、申請に必要な申請書については下記URLをご参照ください。

 

2.特定土地等又は特定株式等を取得した場合の期限延長

  相続開始は震災前ですが、一定の土地等又は一定の株式等の評価額について、震災後を基準とした価額により評価することが認められています。これに該当する場合には相続人等の全員の申告書の提出期限が、自動的に平成24111日まで延長されることとなりました。

なお、この取り扱いの詳しい内容につきましては、第四回目にご説明いたします。

 

【参照URL】

<申告・納付等の期限延長【国税庁】>

http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h23/jishin/tokurei/sozou/index.htm

http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h23/jishin/index.htm

 

<災害による申告、納付等の期限延長申請書【国税庁】>

http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/kosei/annai/2834.htm

暦年贈与課税制度の見直し  一般の贈与

前回のコラムでお示ししましたように、20歳以上の者が直系尊属から受ける贈与については
贈与税率が引き下げられ、生前贈与が行いやすくなっていますが、
一般の贈与については従来の税率構造からの変化はあまりありません。

以下のグラフを見て頂けると明らかですね。  
zouyo01.jpg    zouyo02.jpg

したがって、直系尊属以外からの贈与については今までと同様に多額の贈与は行いづらい状況といえるでしょう。
ただ、直系尊属以外の人から多額の贈与を受けるというケースが考えられるとすれば、
夫から妻もしくは妻から夫への 贈与くらいなもので、実際に生じるケースはあまり多くはないのではないでしょうか。
ですから、改正後に一般の贈与に関する税率が適用されるケースは稀れなのではないかと思われます。 

夫から妻に贈与をした時に、贈与税が改正前と改正後とでどれくらいかかるのかを下の表で比較してみました。
   
zouyo03.jpg

表を見て頂くとお分かりのように、1,000万円までの贈与は改正前後で変動はなく、1,000万円を超えたところから
若干の減税となります。その後、3,610万円が分岐点となりこの額を超えると改正後の方が税額が高くなります。

暦年贈与課税制度は今後、誰から受けた贈与なのかによって異なる2種類の税率を適用しなければならないことになります。 そこで問題となるのが、同一年に直系尊属とそれ以外の者の両方から贈与を受ける場合には
基礎控除額110万円をどのように適用すればよいのかということです。
このような場合の計算は、直系尊属からの贈与財産と直系尊属以外からの贈与財産の金額割合で基礎控除額を
按分して贈与税額を求めることになります。両方から贈与を受ける可能性がある方は是非覚えておいて頂ければと思います。  

税制改正シリーズ第5回 -暦年課税に新制度の創設-

今回の税制改正のうち、相続税については「基礎控除の引き下げ」「税率構造の見直し」などの項目が盛り込まれており増税(ムチ)となります。しかし、贈与税については、暦年課税制度・相続時精算課税制度のそれぞれについて緩和(アメ)される予定となっており、相続税対策のひとつとして、今後は生前贈与の重要性が高くなってきます。

 なお、相続時精算課税制度については第7回の内容となるので、今回は暦年課税制度の改正点についてご紹介します。

 

暦年課税制度の計算方法は、「(贈与財産の価額―110万円)×贈与税率」となっており、110万円の基礎控除額を超えると、贈与税の申告と納税が必要となります。

 改正前は、誰から贈与された財産であっても、同じ税率により計算を行っておりました(下図改正前参照。「一般贈与制度」)。しかし、改正後は20歳以上の人が、直系尊属から贈与を受けた場合に、税率が緩和されます(下図改正後参照。「特例贈与制度」)。言い換えると、20歳以上の子や孫に贈与すると、以前よりも低い贈与税の負担で財産を移転することができるということです。平成23年度税制改正では、この特例贈与制度が新設されました。

 これは、高齢者の保有する資産を、消費世代といわれる若い世代に積極的に移転して、経済を活性化させる狙いがあります。

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 では、暦年課税制度による生前贈与を行う場合に、どのようなことがポイントとなるのでしょうか?

同制度には基礎控除が110万円しかありません。贈与税率が超過累進税率となっていることを考慮すると、一度に多額の贈与をして高い税率で課税されるよりも、時間をかけて少しずつ財産を贈与することが暦年課税贈与を行う際のポイントとなります。

 

また、誰に贈与するのかということもポイントになります。配偶者や子の相続人へ財産を贈与する場合、相続開始前3年以内に贈与された財産は、相続発生時に相続財産に持ち戻され、相続税が課税さます。しかし、孫は相続人ではありません。20歳以上の孫に対する贈与の緩和も考慮にいれると、この孫が生前贈与を行う際のキーマンになります。

 

 

 

実際に暦年課税贈与を行う場合、いくら贈与をしたらよいでしょうか?というご質問をよくいただきます。その際のポイントは、「相続税の実効税率」と「贈与税の実効税率」です。

相続税を一度試算したうえで、その相続財産額に占める相続税額が、相続税の実効税率となります。同様に、贈与財産に占める贈与税額が、贈与税の実効税率となります。

相続税の実効税率よりも、高い税率の贈与を行ったとすると、その生前贈与は相続対策にはなりません。相続税の実効税率よりも低い税率で贈与を行うことが効果的な生前贈与となります。

 

(具体例)

相続財産:3億円

相続人:子供2人(法定相続により相続したものと仮定、配偶者なし)

相続税額:6,920万円

→ 相続税の実効税率 6,920万円/3億円=23.0

 この方の相続税の実効税率は23.0%となります。したがって下記の贈与税の実効税率表のうち、23.0%未満の贈与を行うと効果的な生前贈与となります。

 たとえば、子供や孫へ贈与する場合には、1,000万円で17.7%となりますので、この金額以下であれば、効果的な生前贈与となります。

 

【贈与税の実効税率表】

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 いずれにしても効果的な相続対策を行うためには相続税の試算をすることが大切となります。一度試算をした上で、ご自身の状況を把握していただき、効果的な対策を検討していけたらと思います。相続対策は、今回ご紹介した生前贈与だけではありませんので、ぜひご自身にあった対策を行いましょう!

 また、贈与を行う場合には、契約書を作成する等、きちんと証拠を残すことが大事となります。最近では、認知症の方の贈与契約書を、長男が勝手に作成していたなど、贈与を行った際の意思能力が問われ、贈与が否認されることが問題となっております。形式ではなく、実質的に贈与することが重要ですのでご注意ください。


税制改正シリーズ第4回 -相続税の障害者控除の見直し-

財産を相続(遺贈も含める)した人に障害者がいる場合には、通常の相続人よりも生活費等が必要であると考えられるため、その人の相続税額から一定額を控除できることになっています。それを障害者控除といいます。

昨年(平成22年度)の税制改正で、控除額の算出に用いる年数が70歳から85歳へと改正されました。(下記計算式参照)

さらに、平成23年度の税制改正により、その障害者控除の金額が増加される予定です。

 

「障害者控除」の対象となるのは、次の要件の全てを満たす人です。

 日本国内に住所がある人

 相続人である人

 85歳未満の障害者の人

 

 ③の障害者は、「一般障害者」と「特別障害者」に分けられ、「特別障害者」に該当する場合のほうが、控除額が大きくなります。

 

「一般障害者」とは例えば次のような方が該当します。

・・・身体障害者手帳36級の方

「特別障害者」とは例えば次のような方が該当します。

・・・身体障害者手帳1級、2級の方

 

改正前ですと、控除額は下記ようにもとめます。

○「一般障害者」の場合

 (85歳―相続が発生した時の年齢)×6万円  

○「特別障害者」の場合

 (85歳―相続が発生した時の年齢)×12万円

 

今回の改正により、6万円が10万円に、12万円が20万円に引き上げられます。

○「一般障害者」の場合

85歳―相続が発生した時の年齢)×10万円

○「特別障害者」の場合

 (85歳―相続が発生した時の年齢)×20万円


では、改正により、どのくらい控除額が増えるか具体例をみてみましょう。

 

(改正前・例)

相続開始時の年齢が229ヶ月で一般障害者の場合

85歳-229ヶ月=623ヶ月→63年(1年未満切上)

63年×6万円=378万円

378万円を相続税額から控除することができます。

 

 (改正後・例)

相続開始時の年齢が229ヶ月で一般障害者の場合

85歳-229ヶ月=623ヶ月→63年(1年未満切上)

63年×10万円=630万円

630万円を相続税額から控除することができます。

 

改正後では、改正前に比べると、控除額が252万円(630万円-378万円) 増加します。

なお、この改正は、平成2341日以後発生した相続について適用される予定です。

 

相続税は全体的に増税傾向にある中、障害者控除については納税者に有利な改正となっています。

また、その障害者の相続税額よりも控除額の方が大きい場合には、その引ききれない控除額を、扶養義務者である相続人の相続税から控除することが出来ます。

 

 この障害者控除は、相続が発生したときに障害者手帳等の交付をうけていない場合でも相続税の申告書の提出したときに交付を受けている場合や、手帳等の交付を申請中である場合にも適用されます。また、手帳等がない場合でも、相続が発生したときの現況において同程度の障害があるという医師の診断書がある場合にも適用されます。

 

相続人の中に対象者がいる場合には忘れずに税額控除を行うようにしましょう。

平成23年度の税制改正により、相続税の未成年者控除の金額が増加される予定です。

 

「未成年者控除」の対象となるのは、次の要件の全てを満たす人です。

     原則として日本の居住者である人

     相続人である人

     20歳未満である人

 

上記の要件を満たす人については、その人の相続税額から一定の金額を控除することができるのです。

具体的には、「その人が20歳に達するまでの年数(1年未満切上)×6万円」が控除金額となります。(改正前)

 

(例)相続開始時の年齢が103ヶ月の人の場合

20歳-103ヶ月=99ヶ月→10年(1年未満切上)

10年×6万円=60万円を相続税から控除することが出来ます。

 

今回の改正により、年数に乗じる金額が「6万円」から「10万円」へ引き上げられる予定です。

上記の例の場合、改正後は、

10年×10万円=100万円が控除金額となり、相続税が40万円減少します。

 

なお、その未成年者の相続税額よりも控除額の方が大きい場合には、その引ききれない控除額を、扶養義務者である相続人の相続税から控除することが出来ます。

 

相続税は全体的に増税傾向にある中、未成年者控除については納税者に有利な改正となっています。

相続人の中に対象者がいる場合には忘れずに税額控除を行うようにしましょう。