震災シリーズ第3回目は、第2回目で概要をご説明いたしました「特定土地等・特定株式等の特例」について、具体的にご説明したいと思います。
【災害減免法と震災特例法】
震災により相続財産や贈与財産が甚大な被害をうけた場合、相続税や贈与税を計算するうえで、相続財産の額や贈与財産の額を減額することができる特例措置があります。
その特例措置には、 "災害減免法"によるものと"震災特例法"によるものがあります。
"災害減免法"は、物理的損害に対して行われる措置に対して、"震災特例法"は、経済的損害に対して行われる措置といわれています。
では、"災害減免法"による特例措置とはどのようなものでしょうか。
相続時や贈与時には土地・建物などは正常な状態で、申告期限前に大震災で被害を受けた場合には、財産額から物理的損害額を控除して、相続税や贈与税を計算することができる、という措置です。
しかし、この"災害減免法"による措置は、物理的損害は考慮しておりますが、震災による経済的損害は考慮しておりません。
東日本大震災では、広範囲の地域において津波や地震による甚大な被害を受け、経済活動に支障をきたし、社会的環境も大きく変化しました。それに伴う地価の下落のような経済的損害も考慮しなければなりません。
この"災害減免法"によりカバーしきれない経済的損害を手当てする措置が"震災特例法"による措置です。
(災害減免法による特例措置については、シリーズ第5回でご説明いたします。)
【震災特例法による措置 ~特定土地等・特定株式等の特例~】
<趣旨>
「特定土地等・特定株式等の特例」は、"震災特例法"による特例措置です。
相続税の計算上、相続により取得した財産の価額は、原則として相続開始日の時価となります。しかし、今回の東日本大震災のように広範囲にわたり被害を受け、社会的環境及び経済的環境が一変すると、当初予測もできない地下の下落が現実に起きてしまします。震災日の前後で不動産の時価が大きく変わってしまうと、震災日前に相続がおきて、これから相続税の申告をしようとする方は、震災日前の高い時価で相続税を計算しなくてはなりません。
また、法人の株式の場合においても、法人の有する資産が震災により相当の被害を受け、通常の経済活動が出来ない状態が続いて状況では、震災前の法人の利益・配当・簿価純資産等をもとに評価した株価で相続税や贈与税を計算することは、納税者の大きな負担になります。
このような割り切れない不公平感を抱くことを避けるために「特定土地等・特定株式等の特例」が設けられました。
<特例の内容>
それでは、特例の内容をご説明いたします。
「特定土地等・特定株式等の特例」は、①相続税の特例と②贈与税の特例があります。
①相続税の特例は、平成22年5月11日から平成23年3月10日までの間に相続(又は遺贈)により取得した「特定土地等」(※1)又は「特定株式等」(※1)の相続税を計算する際の価額は、その相続したときの時価ではなく、震災後を基準とした価額にすることができる、というものです。
②贈与税の特例は、平成22年1月1日から平成23年3月10日までの間に贈与により取得した「特定土地等」(※1)又は「特定株式等」(※1)の贈与税を計算する際の価額は、その贈与したときの時価ではなく、震災後を基準とした価額にすることができる、というものです。
(※1)震災日(平成23年3月11日)において所有していたものに限ります。よって、震災日前に売却し、震災日おいて所有していないものは含まれません。
本来であれば、相続開始時や贈与時での価額に基づき相続税や贈与税を計算しなければならいのですが、震災後を基準とした価額に基づいて計算することができます。
「震災後を基準とした価額」の具体的計算方法については、後日国税庁のHP等で公表される予定です。
<イメージ図>
