子供に不動産を購入してあげようと考える場合に、現金を贈与して子供に購入させるか、または親が不動産を購入してそれを子供に贈与するか、一見どちらも変わらない取引に見えますが実はこの取引には大きな違いがあります。今回はこの取引の違いや注意点について考えていきます。
まずは、単純に現金を贈与する場合と不動産を贈与する場合のそれぞれの贈与税の課税価額の違いについてです。
それぞれの評価方法は
① 現金・・・額面
② 不動産(土地)・・・路線価または固定資産税評価×倍率
③ 不動産(建物)・・・固定資産税評価額
土地の贈与税の課税価額は時価の約80%といわれています。また、固定資産税評価額については70%以下となる場合もあります。したがって、例えば現金1億円を贈与した場合には、その1億円が全額課税対象となるのに対し、不動産を贈与した場合には、その70~80%の評価で課税されることとなるのです。
これだけ聞くと不動産のほうが有利!となるわけですが、不動産贈与をする場合には、いくつか注意しなければなりません。
1つめは贈与税の納税資金です。現金を1億円贈与された場合には、その1億円の中から贈与税を支払うことができます。しかし、不動産を贈与された場合には、それに対する贈与税は自身で負担することとなりますから、納税資金をどうするかについては考えておかなければなりません。
2つめは諸費用です。不動産を購入した場合には、贈与税のほかに不動産取得税や登録免許税(それに係る手数料)がかかってきます。現金の贈与を受け、その現金で不動産を購入した場合には、これらの諸費用は1回ですみます。しかし、不動産の贈与を受けた場合には、購入したときに1回、贈与したときに1回と計2回これらの諸費用がかかってしまいます。軽減される贈与税とこれらの諸費用のバランスも考えなくてはなりません。
3つめは特別控除などの特例との関係です。特に住宅などに関し贈与を受ける場合には、いくつかの特例が設けられています。例えば、第7回のコラム「住宅取得資金の贈与」を適用する場合には、現金の贈与をうけ、その現金で受贈者が不動産を購入等する必要があります。この特例はあくまでも住宅を取得するための資金に限られているからです。
また、第4回の「贈与税の配偶者控除」については、不動産を贈与しても、現金を贈与して購入等しても他の要件を満たしていれば適用ができます。
このように、住宅等の特例を受ける場合にはそれぞれの要件が異なりますので、確認をする必要があります。
これらの注意点を意識しつつ、上手に不動産等の移転を図っていくことも相続対策のひとつです。


