医療法人の出資持分の返還

  平成19年4月に「第5次医療法改正」が施行されてからは、新たに医療法人を設立する場合、出資持分の定めのない医療法人(基金拠出型医療法人)しか新設できなくなりました。この新医療法下での医療法人の出資持分評価する場合は、基金(預けた金額)の額面が評価額となります。しかし、新医療法以前に設立された医療法人の出資持分を評価する場合には、通常の会社と同じように時価評価をしなければなりません。
  この出資持分の返還額について東京高裁が新しい解釈をしたので、ここで御紹介します。
  今までは、社団医療法人の出資持分を有する社員が退社をする場合、定款上の「社員資格を喪失した者は、その出資額に応じて払戻しを請求することができる。」の規定どおり、その法人の剰余金部分を含んだ出資持分を払戻ししています。
  しかし、平成20年7月31日東京高裁第21民事部(渡邉等裁判長)の解釈は、新医療法を鑑みた判決が下されています。
 
 ①医療法では「医療法人は剰余金の配当をしてはならない。」とあるが、実際に払戻しをする場合には、剰余金を含んだ払戻しを行っており、この配当禁止規定と矛盾している。
 ②多額な払戻しは、その医療法人自体の存続を揺るがす事態を招く可能性がある。
 
  以上のような趣旨から、原審(前橋地裁平成18.2.24判決)の判断を変更し、医療法人が解散した場合で残余財産の分配する場合を除き、社員が退社をする場合の出資持分の返還については、「出資を限度とした返還」と判断したようです。
  この裁判は、最高裁に上告されており、これまでの裁決例は、「出資額に応じての返還」は、「出資持分に相当する資産の払戻し」と解しており、最高裁が従来通りの考え方を路襲するのかどうか注目する必要があります。