最近の相続税の申告実績・調査実績

国税庁から、平成19年中(平成19年1月1日~平成19年12月31日)に相続の申告があった申告実績(平成20年10月31日までに提出された申告書で相続税額があるもの)と、平成19事務年度(平成19年7月1日~平成20年6月30日)における調査実績(平成17年中及び平成18年中に発生した相続が対象の中心)の概要が公表されています。

申告実績
平成19年中の相続税の申告実績については、被相続人数1,108,334人(前年比2.2%増/過去最高)のうち相続税の課税対象となった被相続人は約4万7千人となりました。課税割合(被相続人全体に占める割合)については4.2%(前年と同様)と平成6年以降での最低水準となっているようです。また、相続税の課税対象となった財産価格(課税価格)は10兆6,216億円(前年比2.4%増)、税額は1兆2,634億円(前年比3.5%増)で、前年よりやや増加しています。

調査実績
調査件数は13,845件(前年比1.5%減)、このうち申告漏れ件数は11,884件(前年比1.5%減)であり、申告漏れ割合は85.8%(前年同割合)でした。申告漏れ件数のうち、重加算税賦課件数は1,914件(前年比5.2%増)、重加算税賦課割合は16.1%(前年比1.0%増)、申告漏れ課税価額は4,119億円(前年比1.0%増)、追徴税額は941億円であったようです(前年比0.2%増)。
調査件数のうち無申告に係る調査件数は504件で、そのうち実際に無申告であった件数は420件(83.3%)。また、海外資産関連については、調査件数407件(前年比11.8%増)そのうち申告漏れ件数334件(前年比14.4%増)申告漏れ課税価格は308億円(前年比108%増)となり、調査件数・申告漏れ件数・申告漏れ課税価額ともに、平成16年事務年度から3年連続で増加しています。
なお、調査日数は平均すると12日程度であったとのことです。

調査事例
 報告されている調査事例の一部を紹介します。
・海外に所在する預金・不動産等を除外して申告したケース
海外の預金及び不動産の保有が想定されたが相続人からは海外に所在する相続財産は無い旨の回答がされた。調査が進められたところ、海外に多額の預金及び不動産を保有していた事実が判明した。(申告漏れ課税価格13億400万円、追徴税額5億2,300万円)
 海外に所在する金融機関における多額の被相続人と相続人の共有名義預金を把握した。調査が進められたところ、被相続人は生前に保有する資金の一部を海外に送金し被相続人と相続人の共有名義預金としていた事実が判明した。(申告漏れ課税価格2億8,500万円、追徴税額1億1,800万円)
・家族名義の株式及び預金を除外して申告したケース
会社役員であった被相続人について、申告されていない多額の家族名義の株式及び預金の存在が把握された。被相続人は将来の相続税課税を逃れるために相続人と共謀して株式及び預金の一部について家族名義に変更していた事実が判明した。(申告漏れ課税価格4億3,600万円、追徴税額2億2,800万円)

まとめ
 相続税が課税されるのは、被相続人24人に対して1人の割合で、課税される被相続人1人当たりの平均相続税額は2,708万円。相続税を申告した場合、約3人に1人の割合で調査が入り、調査が入ると約86%は申告漏れが見つかっています。申告をしなかった場合でも約2,000人に1人の割合で調査が入り、その場合、約83%は申告が必要だったと指摘を受けています。また、申告を漏らしてしまった人のうち、6人に1人は隠蔽や仮装行為があったものと認定され重加算税が課されています。そして、最近特に目立ってきているのが海外資産に関する調査の増加、申告漏れ件数・申告漏れ課税価格の増加です。

 ここから先は私の感想です。上記の統計結果・調査事例からどのようなことが読み取れるのかを考えてみますと、一つは、相続税をごまかそうと考えてもかなりの確率で見つかってしまうということ(海外に所有する資産を隠匿して発見されるケースが増えています)、もう一つは、適正な申告を行っているつもりでも実は適正な申告を行っている人は少ない、ということではないでしょうか。
 それならば最初から経験豊富な専門家に適正な申告を行ってもらい、無申告加算税・過少申告加算税・延滞税・重加算税等の余計な税金を払わないほうが賢いというものです。
 相続税の申告は専門の税理士に任せて合法的な節税を図ることが、余計な税金を払わないで済むだけでなく余計な心配をしないで済み、結局はお得なのではないでしょうか。

参照URL:http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2008/7323/01.htm
参考文献:週刊 税務通信 No.3048

準確定申告

 相続が発生した場合には、相続税の申告や遺産分割協議等の手続が必要となりますが、その他に、亡くなられた方が事業を行っていた場合や不動産の賃貸をしていた場合等に忘れてはならないのが、所得税の「準確定申告」です。
 通常の所得税の確定申告は、翌年の2月16日から3月15日までの間に申告しますが、亡くなられた方の所得税については、「相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内」に相続人の方が申告し、納税する必要があります。例えば、8月20日に亡くなった方の場合は、12月20日までに申告、納税する必要があることになり、これを過ぎてしまった場合には、所得税の他に、別途、加算税や延滞税等が課されてしまいます。準確定申告により納付する所得税は、本来亡くなった方ご本人が負担するべきものであるため、亡くなった方の相続税の計算上は債務として課税財産から控除することができますが、相続人の責めに帰すべき理由により発生した加算税・延滞税等については控除の対象とはならないため、注意が必要となります。
 準確定申告をする場合には、1月1日から亡くなった日までの、亡くなった方の収入や経費を基に所得税を計算します。その際、所得税の計算上控除できる社会保険料や生命保険料等についても、死亡の時までに支払った額となり、配偶者控除や扶養控除等の判定も年末ではなく死亡の時の現況により行います。給与や年金の源泉徴収票、各種控除証明書等については亡くなった時までの金額を証明するものを発行してもらう必要があります。
 また、亡くなった方の準確定申告だけでなく、相続人の方の所得税の確定申告についても留意する必要があります。例えば、サラリーマンをしていて、今まで所得税の確定申告をしていなかった方が、父親の死亡により賃貸用マンションを相続したような場合、この方はその年分以後、「不動産所得」を有することとなり、毎年の所得税について確定申告をする必要がでてきます。

離婚と相続

 今は昔に比べて離婚に対する抵抗感がなくなり、周囲の目を気にすることなく離婚、再婚を繰り返し、新しい人生を踏み出す人が多いようです。良い時代になりました。
 さて、そういった離婚、再婚は相続にどう影響してくるのでしょうか?
 ここでは再婚する女性にスポットをあててみたいと思います。
①独り身で再婚する場合
 前夫とは離婚により関係が切れるため前夫の法定相続人にはなれません。
 再婚相手である夫の法定相続人になります。
②子連れで再婚する場合
 ①と同様、再婚する本人は前夫の法定相続人にはなれませんが、再婚相手の法定相続人になります。連れ子はどうでしょうか?この場合、連れ子はあくまで前夫との正式な婚姻関係に基づいて出来た子なので、前夫の法定相続人になります。
 (これには親権が父親にあるか、母親にあるかは関係ありません。)
 また、前夫との子は、再婚相手の夫と養子縁組をしない限り再婚相手の夫の法定相続人にはなれないので注意が必要です。
 再婚相手の夫と連れ子が実の親子のように仲が良くても養子縁組をしなければ再婚相手の法定相続人にはなれないのです。
 離婚をして以来会ったことがない子供よりも再婚相手との子供に多く遺産を残したい場合は遺言を書く必要も生じてきます。

 新しいパートナーと人生をやりなおす際には、可愛い我が子のためにも将来発生する相続のことも考えて事前の準備をされることをお勧めします。