遺言があれば...


最近、遺言があればこんなに大変な思いをしなくても良かったのに、、、と思うことがありました。
お子さんがいないご夫婦で、今回ご主人が亡くなりました。相続人は奥様とご主人のご兄弟のお子様(奥様から見たら甥姪)5人の合計6人です。今まで全てご主人まかせだったそうで奥様は「私は何もわからないのよ」と、とても不安そうです。妹さんが心配していろいろ手伝ってくれてはいるのですが、やはり奥様方の家の方です。あまり表立って手伝ってしまっては、ご主人方の相続人から財産目当てと思われてしまう可能性もあるからと遠慮がちです。
ご主人は生前奥様に「財産はお前がすべて相続してくれ」というようなことを言っていたそうですが、遺言を作成したわけでもなく、なにかの切れ端に簡単に書いただけで、奥様もそんなメモではどうにもならないだろうと捨ててしまったと言います。
相続人が多いこともあり、特例の適用を受ければ相続税はかからないのですが、遺言がないため、遺産分割協議書と申告書に相続人全員の署名捺印が必要となります。奥様の今後の生活もありますので、なんとかハンコ代ということで皆さんに○十万円ずつで署名捺印をしてもらえないかとお願いすることになりました。
お子さんがいらっしゃらないということで、奥様が相続された財産は奥様に万が一のことがあれば奥様のご兄弟が相続することになります。そうなると、もともとご主人方の家の財産であったものが奥様方の家のものとなってしまいます。その辺に関する抵抗感をお持ちになる方はいらっしゃいました。
最終的にはなんとか皆さんにご納得いただき、署名捺印をいただけることにはなりましたが、皆さんの回答を待つ間も、奥様は不安で不安で眠れないとおっしゃっていましたし、皆さんにご都合を聞いて、いざ署名捺印、といっても当日体調が悪いからと急に欠席される方がいたりと全員の署名捺印をいただくのにとても苦労をしました。
皆さんいい方で、奥様のご事情を酌んでくださったので、もめることはなかったのですが、それでも、やはり甥姪となるとお付き合いがあまりない方もいらっしゃるので皆さんがどんな反応をされるのか奥様は大変心配されていましたし、お一人ずつお電話をされたりしたようです。また、もしもめていれば、甥姪の皆さんには遺留分はないとはいえ、ずっと未分割のままで奥様の心労は絶えませんし、もっと多くを分割することになれば奥様の老後の資金が減ることになり、それはそれで不安の種が残ることになります。
長年支えあってきた最愛のご主人を亡くされて悲しみの中にいる奥様を、さらに相続問題で不安にさせることのないように。ご主人から奥様への最後のラブレターとして遺言を残されてはいかがでしょうか。