借地人以外の底地の買取り

 こういったケースがよくあります。
 父は借地権者でその借地上に自宅を所有しています。地主から底地を買取って欲しいとの要請があり、将来的なことも考えて底地の買い取りは子供が行うことになりました。  
親子間ですので、その後の地代の授受は行われません。
 この場合、どのような課税関係が生じると思いますか!?
 実は、何もしないとその子供は父から借地権相当額の贈与を受けたものとして取り扱われて、贈与税が課されてしまうのです。
 さて、なぜでしょうか!?
 底地を子供が買い取るということは、その土地の登記簿上の名義が子供へ移ります。つまり、父が所有している借地権も含め土地全体の所有権が子供に移転するので、借地権が父から子供に無償で移転してしまうことになるのです。無論、無償で財産が移転するということは贈与税の対象となってしまいます。仮に土地の更地価額が5千万円、借地権割合が60%とすると、3千万円が贈与税の課税対象となります。
 ここで親子間での地代の授受があれば借地権者である父と底地所有者の子という区別ができますが、通常親子間で地代の授受はありませんのでこの様な問題が生じてくるのです。
 では、どうしたらよいのか!?
先ほど、「何もしないと」贈与になるというようにお話ししました。
実は、税務署に対して、「借地権者は父のままですよ!!」という意思表示をすることによって贈与税の課税を回避することができます。
 具体的にいうと、その子供がお父さんとの連署による「借地権者の地位に変更がない旨の申出書」を税務署に対して提出した場合には、借地権者であった父が従来どおり借地権を所有するものとして取り扱われ贈与税は課税されません。底地を借地権者以外の人が買取る場合には充分ご注意下さい。
 最後に相続税の取扱いですが、申出書を提出した状態で父に相続が発生した場合、当然借地権は父のままですので、借地権相当額の3千万円は相続税の課税対象になります。
 さて、ここまでお読みいただいて何となくお分かりになるかと思いますが、この一連の手続きは借地権の権利があやふやになって、相続税の課税漏れが起きてしまうことを避けるべく税務署がこの様な取扱いを定めているのでしょう。