『相続税の税務調査』

国税庁の公表データ(直近3年間)によると、相続税申告書の提出は年間約45,000件あり、そのうち30%に相当する約14,000件に税務調査が行われています。さらに、このうち申告漏れが指摘された件数は約12,000件で、調査件数に占める申告漏れの割合は85%と非常に高い確率となっています。また、仮装・隠ぺい行為があったとして、重加算税が課せられた割合は調査件数に対して約15%となっています。
税務署の指摘事項について修正申告をした場合、増加した相続税以外に以下のような附帯税もかかりますので注意が必要です。

【延滞税】
・納期限の翌日から2か月を経過する日まで→年4.7%
     ※金融情勢により年ごとに変動する場合があります。
・納期限の翌日から2か月を経過した日以後→年14.6%

【加算税】①または②
①過少申告加算税
申告した税額が少なかった場合→10%または15%
②重加算税
「仮装・隠ぺい行為」による過少申告があった場合→35%

「仮装・隠ぺい行為」とは例えば次に掲げるような事実がある場合をいいます。
(1) 相続人等が、帳簿書類について改ざん、偽造、変造、虚偽の表示、破棄又は隠匿をしていること。
(2) 相続人等が、課税財産を隠匿し、架空の債務をつくり、又は事実をねつ造して課税財産の価額を圧縮していること。
(3) 相続人等が、取引先その他の関係者と通謀してそれらの者の帳簿書類について改ざん、偽造、変造、虚偽の表示、破棄又は隠匿を行わせていること。
(4) 相続人等が、自ら虚偽の答弁を行い又は取引先その他の関係者をして虚偽の答弁を行わせていること及びその他の事実関係を総合的に判断して、相続人等が課税財産の存在を知りながらそれを申告していないことなどが合理的に推認し得ること。
(5) 相続人等が、その取得した課税財産について、例えば、被相続人の名義以外の名義、架空名義、無記名等であったこと若しくは遠隔地にあったこと又は架空の債務がつくられてあったこと等を認識し、その状態を利用して、これを課税財産として申告していないこと又は債務として申告していること。
(「相続税及び贈与税の重加算税の取扱いについての事務運営指針」より)

相続登記をお忘れなく

 相続税の申告や納付は、相続発生から10ヶ月以内という期限があります。ただ、相続登記をこの期限内に完了させなければならないという規定はなく、また、登記しないことによる罰則もありません。売買の場合は、他人との取引ということもあり、所有権移転登記が代金の授受と同時に必ず行われますが、相続登記は、身内との取引ということもあり、中には、そのうち、ゆっくりやればいいとお考えの方がいらっしゃるようです。
 先日、お目にかかったお客様は、ご所有の?土地について、お爺様のご相続、曾お爺様のご相続と2代にわたって登記をされていらっしゃりませんでした。お客様がおっしゃるには、曾お爺様のご相続の際は、家督相続が当時の法律で決められていたので、曾お爺様からお爺様への相続は、他の相続人の承諾を得なくてもそのままお爺様が相続されるのではとおっしゃられていました。
 司法書士の先生によると、曾お爺様の時代は法律で家督相続が決められていたとしても、現在に登記する際は、現在の民法にて、曾お爺様の現在の相続人で分割を協議しなければならないとの答えでした。しかも曾お爺様の相続登記をし、その後、お爺様の相続登記と2回登記しなければならないようでした。曾お爺様の相続人は、現在、どなたになるのでしょうか?まず、相続人を確定する作業に入ることになりましたが、かなりの時間がかかることが予想されます。
 またこの状態で、また、ご相続が発生した場合は、相続の申告期限までに、2代の相続登記が完了していないと、この土地については分割できないことになり、「配偶者に対する税額軽減」や、「小規模宅地の特例」は適用できないことになります。
 時が過ぎれば過ぎるほど、相続人が鼠算式に増えていき、やっかいになっていくのが、相続登記です。相続登記をされていない方、是非、お早めに登記をされることをお勧めします。