遺言は遠くの世界のものではありません

遺言は遠くの世界のものではありません

 「遺言」という言葉をきいて、皆様はどうようにお感じになられるでしょうか。縁遠いもの感じる方も多いのではないでしょうか。私も今のような仕事に携わるまでは全く身近なものとは感じていませんでした。二時間サスペンスや石崎 秋子という土曜日夜9時の世界に出てくるものという印象でしか捉えておりませんでした。
 ところがこの遺言、財産の多寡に関わらず結構有用なのです。
 例えば子供のいない夫婦がおり、旦那さん(以下「夫」といいます。)が亡くなってしまったとします。この夫の直系尊属(両親・祖父母…)がいないと、相続人は配偶者(以下「妻」といいます。)と夫の兄弟姉妹ということになります。法定相続分は配偶者4分の3、兄弟姉妹全員で4分の1となり、配偶者にたくさん財産を残してあげられるように感じられます。でも、妻はすんなり財産の4分の3を取得できるとは限りません。兄弟姉妹からしてみれば被相続人の妻は他人です。家の財産の大半を他家にもっていかれるようなことを快く思わない兄弟達もいるかもしれません。このご時勢ですから、住宅ローンやギャンブルの借金、日々の生活に窮している人がいることも想像に難くありません。今まで仲良くしていてもお金が絡むと今までどおりには行かない場合だってあります。すると、兄弟たちはもっと財産をよこさないと遺産分割協議書に判を押さない、と主張してくるかもしれません。相続人全員の同意が得られないと、夫名義の不動産の登記をすることはおろか、ロックされてしまった夫の口座を動かすこともできないので妻は葬式費用や生活費の支払いに困ってしまうかもしれません。日本の民法は夫婦別産制を採用しています。でも、財産は夫婦が協力して2人で築きあげてきたものです。妻に財産を残せないのは夫としても不本意でしょう。
 そこで遺言です。このようなケースの場合、夫が生前に妻に全財産を与えるという遺言を書いておけばよかったのです。兄弟姉妹には遺留分がありませんのでこのような遺言を書くことで夫は妻のために全財産を残してあげることができます。
 遺言には、自筆証書遺言や公正証書遺言などの種類があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。これらに関しては過去のコラム(2008.1.232007.11.142007.5.16)にも記載がございますのでご覧ください。

 弊社では、最近『人生手帳』という小冊子を作成しました。ご自分の人生を振り返り、人生の棚卸しをしていただくために作成した小冊子です。遺言のことも含め、ご家族のために今後どうしたらよいかを考える一つの術になるのではないかと考えております。弊社受付に常置しておりますのでよろしければお手にとってご覧下さい。