親族間での貸し借りの注意点

 子供から「マンションを買うから、お金の面倒をみてくれないか」と言われた場合、あなたならどうしますか?

1 自分で何とかしろという
2 金融機関を紹介してあげる
3 購入資金をあげる(贈与する)
4 購入資金を貸す

 1と2を選択された場合はこれからの話は関係ありません。今回の話は、3と4を選択した方が対象となります。
 税務調査でよく問題になるのが、「購入資金をあげたのか」それとも「購入資金を貸したのか」です。親族間での金銭のやりとりがあった場合、当事者間では貸したと思っていても、その実態は、あげたのではないかと指摘されることがあります。そのためにも贈与契約か金銭消費契約なのかを区別しておくことが大切です。
 金銭消費契約(「貸し借り」)をする場合には、次の点がポイントです。

(1)契約条件
 払える時に返済するといった不確定なものや返済期間を100年、据置期間を10年としたり、返済能力がないにも関わらず、返済条件を決めた場合には、貸し借りではなく、贈与と認定される可能性がありますので、第三者(金融機関等)と契約する場合と同じような条件にしておく必要があります。

(2)証拠作り
① 契約書の作成(金額、期間、返済方法、利率の設定)
② 公証人役場で確定日付をとる又は公正証書にする
③ 資金のやりとりを口座を通して行う

 親族間のやりとりは、形式に捉われないで、お互いが理解していればいいと思いがちで
すが、親族間だからこそ、形を残しておき、第三者が見たときに判断がつくようにしておく必要があります。

相続・贈与により取得した上場株式


相続や贈与により取得した上場株式を皆様はどのように保管されていますでしょうか。
自宅や貸金庫等に保管する、いわゆるタンス株式になっていませんでしょうか。現在、株券電子化の準備がすすめられていますが、電子化実施後は株券そのものに価値はなくなります。相続や贈与により取得した上場株式は特に名義書換えが済んでいるか確認が必要です。一度、株式の保管状況を見直し、タンス株式は証券会社の特定口座への預け入れを検討されてはいかがでしょうか。タンス株式や証券会社の一般口座に預け入れている株式を、特定口座へ組み入れるためには、平成21年5月末までの手続きが必要ですので、どうぞご注意ください。
ここで、相続・贈与により取得した上場株式の売却時の取扱いと、特定口座における取得費についてご説明いたします。

(1)株式売却時の税金は?
株式を売却した場合、次の算式により税金を計算します。
   (売却金額-取得費-委託手数料等)×税率

相続や贈与により取得した株式を売却する場合は、特に取得費に注意が必要です。
この場合の取得費は相続や贈与を受けた時の評価額ではなく、被相続人や贈与者の
取得費を引き継ぎます。つまり、被相続人や贈与者の値上がり益も引き継ぐことになります。もし、取得費が不明の場合、売却金額の5%を取得費にできますが、残りの95%は売却益とみなされてしまいます。
なお、平成13年9月30日以前から引き続き所有していた株式については、みなし取得費(平成13年10月1日の終値の80%相当額)を取得費とすることができますが平成22年12月末までに売却した場合に適用をうけられます。

(2)特定口座へ預け入れる場合の取得費は?
特定口座とは、上場株式の売却益課税について、確定申告を簡略化したり、源泉徴収 
することによって確定申告を不要とする制度です。したがって、特定口座へ預け入れる際、取得費を明確にする必要があります。
平成16年12月末まではみなし取得費で特定口座に入庫することができましたが、残念ながら現在はできません。したがって、以下のような取扱いとなります。

① 取引報告書等により確認できる場合→報告書等に記載された取得金額     
② 名義書換日が確認できる場合→名義書換日の終値

※ 名義書換日は株券の裏書や、信託銀行で「株式異動明細」を取寄せることにより調べることができます。