株式と税務調査

 最近の相続調査の多くは被相続人と相続人間をめぐる生前の財産移動についてその真否を問うということに主眼がおかれています。
特に会社経営されていた方の御相続の調査は、その会社の株式の移動をめぐっての調査にポイントが置かれます。何故でしょうか?
 未上場の会社の多くは、① 株券が未発行 ② 株主台帳が未作成  ③ 株主名簿も未作成というように、株式の移動については、きちんとした記録をとっていません。
会社に保存してある株主関係の資料といえば、法人税の申告書の別表二に記載された株主欄の氏名と株式数、配当の支払調書等法人税関係があるだけというところが多く、それも設立からお亡くなりになった事業年度まで全部保存してあるという会社もあまりありません。
 反対に移転を受けた株主側に、贈与税の申告書、贈与契約書、譲渡所得税の申告書、売買契約書等、移転を立証する資料も全部そろっているケースもまたなかなかありません。
創業数十年という長い歴史の中を経ての相続発生なのでしかたがないことかもしれませんが、証拠書類の添付がない申告書を収受した税務署も、真の株主は誰か確かめなければならず、調査にやってくるわけです。それでは上記に掲げた資料さえもみつからなかった場合、税務署はどうやって、真の株主を見つけることになるのでしょうか?
 この場合には、生前、被相続人からの贈与や売買で株主となった相続人本人に株式について事情聴取をして確かめることになります。
・株券はもらっていたか?
・どうやって株式を取得した
・配当はもらっていたか?
・配当はどのような方法でもらっていたか?
・株主総会は開催されていたか?
・株主総会の招集通知はもらっていたか?
・増資について記憶があるか?
・増資の引き受けをしたことがあるか?
 贈与や売買の手続は一切被相続人が行っていて、移転を受けた相続人は詳細を何もしらないままでいるケースがよくあります。このようなケースで上記のような質問を受けた相続人は果たして答えられるでしょうか? 株式移転をする際は、必ず、移転を受ける本人への説明、配当を支払った際には必ず本人に配当金を手渡す、株主総会にもきちんと出席させるといったように、常日頃、株主としての自覚をもってもらうことが重要です。