ご存知の通り平成18年5月に会社法が施行されました。相続コラムに会社法?と思う方もいらっしゃると思いますが、実はうまく活用すれば相続税、特に事業承継に大いに役立つことがあります。それが「種類株式」といわれるものです。会社法の施行によって、さまざまな特色をもつ種類株式を発行することが可能となりました。今回はその中のひとつである議決権制限株式を活用した事業承継についてご紹介したいと思います。
議決権制限株式とは、株主に配当を受ける権利や、残余財産分配請求権は付いているものの、株主総会での議決権は制限されている株式のことをいいます。制限されるといってもすべての権利を制限するわけでなく、取締役の選任など特定の事項のみを制限することも可能です。
この議決権制限株式を活用して、事業承継者となる後継者には議決権のある株式を、後継者でない相続人や従業員等に議決権制限株式を付与することにより、後継者に経営を一手に集中させることにより、将来経営をスムーズに承継させることができます。
また、事業承継だけに限らず、オーナーの保有する議決権制限株式を生前から贈与又は譲渡しておけば、オーナーの支配権は確保しながらも、相続財産となる株式を減少させることが可能です。
この議決権株式の発行方法として、①定款変更によりすでに発行している株式を議決権制限株式に変更する方法②議決権制限株式を新規発行する2つの方法があります。いずれの場合であっても、定款に議決権を行使できる事項・議決権行使の条件・発行可能種類株式総数を記載しなければなりません。また、定款変更のためには、株主総会の特別決議が必要です(議決権の過半数を保有する株主が出席し、その出席株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要)。
相続人が息子一人である場合など、議決権が分散する可能性が低いときは問題ないと思いますが、相続人が複数いるときは株式が分散するとともに支配権も分散してしまい、後継者にうまく事業承継することができないことが考えられます。そのようなときに備えて議決権制限株式をご検討してみてはいかがでしょうか。


