最近のコラムでも書いていますように、平成20年度税制改正大綱において、事業承継税制が整備されることになりました。これに伴い、今回相続税の課税方式の見直しも検討されることになりましたが、では、なぜ相続税の課税方式の見直しが必要なのでしょうか?
まず、わが国の相続税の課税方式を説明しますと、「法定相続分課税方式」という方式が採用されています。「法定相続分課税方式」とは、遺産総額に対して法定相続人が法定相続分どおり遺産を取得したものとみなして相続税の総額を算出し、それを各人の取得財産額に応じて按分して課税する方式です。これに対し、今回検討されている課税方式は「遺産取得課税方式」といい、ドイツ・フランスなどで採用されている課税方式で、遺産を取得した人が取得した遺産に対して算出された相続税を各人で納税するという方式です。
従前より、「法定相続分課税方式」には下記のような問題点が指摘されていました。
① 各種の相続税の課税上の特例の効果が、その特例の適用と無関係な相続人にまで及んでしまう
② 相続により取得した遺産の額が同額であっても法定相続人の数により税額が異なってしまう
③ 相続人一人の不正で他の相続人にも追徴課税が及んでしまう
事業承継税制の目的は、あくまで「事業の円滑な承継」となっております。「法定相続分課税方式」では、上記①のように、事業承継に関係のない後継者以外の相続人まで本税制の恩恵を受けてしまうことになりますので、本来の趣旨とずれてしまいます。よって、後継者以外の相続人にその効果が及ぶことのないよう、「遺産取得課税方式」への改正が検討されることになったものと思われます。


