遺言書には、大きくわけてご自分で書きご自分の責任で保管しておく、「自筆証書遺言」と公証人役場で作成する「公正証書遺言」の2種類があります。当たり前のことですが、「自筆証書遺言」は変更があれば簡単にいつでもすぐ書き直せます。そのかわり、相続が発生した後、家庭裁判所に第三者立会いのもと、相続人全員が集まり遺言であることをお互いに確認する手続き、「家庭裁判所での検認」を受けなければ正式な遺言書としては認められないことになっています。その点「公正証書遺言」は、公証人の立会いのもと、正式な遺言書として確定されていますので、実際に相続が発生したときは、検認という面倒な手続はいりません。但し、変更するときは再度、公証人役場に出向かなければならないという点では、「自筆証書遺言」よりも面倒ともいえます。そこで、「公正証書遺言」で遺言を作成する場合、次のような点をご注意ください。
1 変化しそうな資産は詳細に記載しないこと
遺言書を作成してから実際の相続の発生までの期間に遺言書作成時のお手持ちの金融資産をそのままにしておくことは現在のご時世ではまずないと思われます。遺言に孫○子は○○銀行の定期預金 ○○円のみと書かれたとします。この遺言のことを忘れて、その定期預金を證券投資信託に変えたとたん、相続が発生してしまったらどうなるでしょうか? 孫 ○子は何ももらえないことになります。孫 ○子に金融資産をあげたいのなら、預貯金のうち○分の1、上場株式のうち○分の1等と大きな分類で記載されると、多少、金融資産の内容を変更してもすぐに遺言書を変更する必要がありません。
2 まずは絶対にあげたい資産のみだけを書いておく
今現在、これだけは○○にあげたいという資産のみ決まっていらっしゃる場合、たとえば、ご自分で経営されている会社の株式や、会社で使用している資産、ご自宅など、その資産だけを記載した遺言書をまずは作成しておかれたはいかがでしょうか。何が何でも全財産くまなく分配する遺言書を書かなければならないということはありません。但し、この場合は、資産だけでなく、その資産を相続する際にかかる相続税の資金について、遺言書に記載するかどうか検討されてください。
財産をあげる人、財産をもらう人の心がいつまでも変わらないという確証はありません。
そういう意味では1度遺言書を書いたら終わりということはありません。毎年、除夜の鐘を聞くときにでも、来年も書いた遺言書の内容でいいかどうか、チェックされることをお勧めします。


