相続開始時から遺産分割までの賃料は誰のもの?

マンションを経営しているAさんに相続が発生しました。相続人は子供B、C、Dの3人で、法定相続分はそれぞれ1/3ずつです。遺産分割において、このマンションをBさんが取得することになりましたが、ここで問題となってくるのが遺産分割までのマンションに帰属する賃料等についてです。
考え方については、
①財産を取得したBさんが取得する
②Aさんの財産ではないが、遺産分割で確定させる
③遺産分割までは共有財産であるため法定相続分により取得する
上記の事項が争われた事例について、平成17年9月の最高裁の判決において、③の相続人が法定相続分に応じて取得することが相当とする判断を下されました。判決理由としては、「遺産は、相続人が数人あるときは、相続開始から遺産分割までの間、共同相続人の共有に属するものであるから、この間に遺産である賃貸不動産を使用管理した結果生ずる金銭債権たる賃料債権は、遺産とは別個の財産というべきであって、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得するものと解するのが相当である。遺産分割は、相続開始の時に遡って効力を生ずるものであるが、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得した賃料債権の帰属は、後にされた遺産分割の影響を受けないものというべきである」と判事しております。つまり、遺産分割が確定するまでは相続人共有の財産であるため、当然のようにそれに帰属する賃料についても各相続人に受領する権利があるということです。
租税実務においても、未分割の相続財産であるアパートから生ずる不動産所得は、分割が行われるまでは相続人の法定相続分に応じて申告すると解されており、この最高裁の判決については税務上の取り扱いに即したものとなっております。

胎児がいる場合の相続手続き

相続が発生した時に、まだ生まれていない子供(胎児)がいた場合には、どのように取り扱えば良いのでしょうか?
相続に関する取扱いは常に民法と相続税法の2つのルールに分けて確認する必要があるのですが、この胎児の件も民法と相続税法に分けて考えてみます。
まず民法では以下のように規定しています。
①胎児は、相続開始時には法定相続人としての権利能力を有していない
②ただし、相続と遺贈の場合においては相続開始時に既に生まれていたものとみなす
ちょっと解りにくい規定ですが、判例では胎児は相続開始時には法定相続人としての権利能力を有していませんが、その後無事に生まれた時に相続開始時に遡って生まれていたものとみなし相続能力を認めるということとしています。
したがって、遺産分割の手続きは胎児の出生を待って行うことになります。
一方、相続税法においては胎児が出生した場合に限り法定相続人として取扱うこととしています。
したがって胎児が相続税の申告書を提出する日までに生まれていない時は基礎控除額の計算等は胎児がいないものとして計算することにしています。その後、胎児が生まれた時は法定相続人に異動が生じますので、相続税の計算をやり直します。
ただし、相続税の申告期限内に出生することが大部分と考えられますから、出生を待ってから遺産分割及び相続税の申告を進める方が望ましいと思います。
なお、相続税の申告期限は通常、相続開始を知った日の翌日から10カ月以内としていますが、胎児の場合には『法定代理人がその胎児が生まれたことを知った日』から10カ月以内となります。また、他の相続人においても申告直前(申告期限の1カ月以内)に胎児の出生があった場合には申告期限を2カ月以内で伸長できます。

離婚による財産分与と税金

報道によれば、平成18年は平成17年と比較して離婚件数が減少したそうです。これは、平成19年4月1日から始まる「離婚時の厚生年金の分割制度」を待ってのことで、平成19年は離婚件数が増加に転じるのではないかという予測もあるようです。
離婚に関しては、夫婦で形成してきた財産をどのように分けるのか、というのが大きな問題になってくると思われます。
離婚による財産分与については、贈与により取得した財産とはならないため原則として贈与税は課税されません。ただし、財産分与を受けた額が不当に多すぎると認められる場合や、離婚を手段として課税逃れを図ろうとしたものであるときは、たとえ名目上は財産分与であっても、贈与により取得した財産として贈与税が課税されることになります。
それでは、合理的な財産分与については課税が全く生じないかというと、そういうわけではありません。離婚に伴って分与された財産が、土地建物など譲渡所得の起因となる資産である場合には、財産を分与した人が、分与した時の時価により、その土地建物を譲渡したものとして、譲渡所得税が課税されることになります。ただし、分与された財産がマイホームである場合において一定の要件を満たすときは、マイホームを売却したときと同様に譲渡益から3,000万円を控除することが認められています。
なお、この3,000万円特別控除の特例の適用要件として、「売手と買手の関係が、親子や夫婦など特別な間柄でないこと」とされていますので、離婚前に財産分与を実行した場合にはこの特例の適用が受けられません。つまり、離婚後に「配偶者」でなくなってから財産分与を実行した場合にのみ、特例の適用が受けられるということになります。
さらに、「住まなくなった日から3年目の年の12月31日までに売ること」という要件その他一定の要件がありますので、財産分与を行う時期等については十分注意する必要があります。

相続税の脱税

11月28日開業医だった夫の遺産を隠し、約7億円の相続税を脱税したとして、開業医の妻が逮捕されるという事件が発生しました。自宅の土地や建物、現金など計約19億5000万円ほどの相続財産を相続したが、このうち2億6700万円だけを過少申告した疑い。

相続税を脱税した場合、どのようなペナルティが課せられるのかを簡単にご紹介致します。

1.税金ペナルティ
通常、支払うべき相続税とは別に、税金上のペナルティが課されます。
内容としては、重加算税、無申告加算税、延滞税等です。
特に、重加算税は35%(又は40%)と途方もない税率のペナルティです。上記ケースですと、仮に計算期間を1年とすると、2億円以上もの重加算税が課されます。
正しく申告していれば本来は納めなくてもよかった税金です。

2.刑事罰
上記のケースでは、税金のペナルティのみではなく刑事罰も科されています。
起訴、告発され有罪が確定すると懲役刑が科されてしまいます。つまり、牢屋に入るということになります。
ちなみに、脱税犯(相続税に限らず)の懲役刑の人数は、年間100人以上にもなると言われています。

3.社会的制裁
今回のケースのように逮捕となると、新聞等の各種メディアで実名報道がされてしまいます。社会的信用は完全に失墜してしまいます。

なお、金額の大小に関わらず脱税には上記のようなペナルティが課される可能性があります。国民の三大義務を守り、税金は正しく申告しましょう。