相続について数多く税務相談を受けてまいりました。
「どのようなことでお悩みでしょうか?」 私の問いかけに、
「アパートを建てると相続税って下がると聞いたのですが?」
「相続税対策で、銀行から借り入れしてアパートを建築したのですが、借入金が少なくなってしまったので再度借り入れを起こしたほうがいいでしょうか?」
「アパート収入が増えると私の相続の際、相続税が大変になって息子が苦労すると思うので、息子名義でアパートを建築しようと思うのですが?」
といろいろなご相談が投げかけられます。必ず、私は次の一言から始めます。
「相続税が今いくらかかるかご存知ですか?」
「そうじゃなくて、私が聞きたいのは相続税が下がるかどうかなのに、もうこの人ったら何いっているのかしら」と思っていらっしゃられるのでしょうか、やや、ご不満そうに「ありませんよ!」とおっしゃられます。
「それでは今簡単に税額を算出してみましょう。お持ちの資産はおいくらぐらいですか?
ご相続人になられる方は何名ですか? ・・・・」とお聞きし、やおら、相続税算出のための早見表を持ち出し、おおまかな相続税を算出し、お客様にお見せすると
「はあ、この金額ですか?・・・心配することなかったですね。」
「え! 相続税かからないの! よかった。」
と多くのお客様が安心されます。
ご自分の相続が心配になったときは、まずは、相続税の試算です。
相続税対策を依頼されたお客様に、相続税の金額の報告をさせていただいた瞬間に、お顔に安堵感が現れるのを何度か拝見させていただいております。
相続税の金額を明確にしてから、納税資金は大丈夫か? 遺産分割はどうする? と対策を進め、最後に、相続税のそのものに入るのが相続税対策の王道です。
よく、木を見て、森を見ていないということが格言でいわれますが、相続税対策も、相続税がいくらかかるのか、相続税の対象になる資産は何があるのか、相続税の計算において資産の評価はいくらになるのか、と相続税という森を見ないで、相続税の引下げという木だけに主眼を置くと、間違った対策になる恐れがあります。
「うちは相続税なんて心配ないよ。そんなに財産はないし・・・」とおっしゃるお客様の算出した相続税は思いかけず多額であったり、「相続税が心配で、心配で・・・」とおっしゃるお客様は、相続税がかからなかったりということがよくあります。
病気にならないように、医師に人間ドックを受けるように、相続でご家族が悲しまれないように、税理士に財産ドックを受け、相続税の算出をまず実施されることをお勧めします。


