相続税は被相続人の相続開始時の正味財産に対して課され、その財産の評価は相続開始時の時価によります。そのうち、宅地や自社株は評価額が多額となり、相続税の負担も大きくなる可能性があります。そこで、相続税の課税価格の特例として、『小規模宅地等の減額の特例』『特定事業用資産の減額の特例』を設け、相続人等の生活基盤維持や中小企業の事業承継の円滑化を図ることとしているのです。今回は、あまりなじみのない『特定事業用資産の減額の特例』について記載することとします。
まずは、制度の概要について簡単にふれておきましょう。
・取引相場のない株式(以下、自社株)の取得者が被相続人の親族であること
・その親族が相続税の申告期限までに引き続きその株式を有し、かつ、その法人の役員であること
・相続開始直前の被相続人とその同族関係者の持株割合等が50%超であること
・相続開始時の同族関係者の持株割合等が50%超で、その取得者の持株割合等が5%以上であること
・この特例の対象となる全ての株式の時価総額が20億円未満であること
などの要件を満たせば、発行済株式総数のうち2/3に達するまでの部分(10億円を限度)について、課税価格を10%減額することができます。
また、この制度は相続税の課税価格を計算する際の特例です。相続時精算課税制度を選択して自社株の贈与を受ける場合に、その自社株は必ずその後相続税の課税価格に算入されます。では、その際この特例の適用が受けられるでしょうか。贈与時に一定の書類を提出し、さらに相続時に要件を満たすことで特例の適用が可能となります(平成19年度税制改正による特定同族株式等の贈与を受けた場合の特例による相続時精算課税の適用を受けている場合は適用できません。)。
最後に、この特例は平成15年度税制改正前は『小規模宅地等の減額の特例』との併用が認められていませんでした。しかし、改正により一定の限度額まで併用が可能となりました。基本的には『小規模宅地等の減額の特例』の方が評価減の効果が高く、対象となる宅地と自社株の双方を相続した場合には、『小規模宅地等の減額の特例』が使われることが多いようです。しかし、小規模宅地等の減額の対象となる宅地等の面積が限度面積に満たない場合や自社株のみを有する場合には、この特例の適用も想定されるため概要を把握しておくと良いでしょう。


