相続税がかからない人は対策不要?

 一つ質問です。日本で相続税を払っている人の割合は、どのくらいだと思いますか?

 答えは、財務省の統計データによると平成17年度の死亡者数1,083,796人のうち相続税の課税があった被相続人の数は45,152人で、全体の約4.2%にあたります。(申告により相続税がかからない人を除きます
 
 いかがでしょうか?思っていたよりも少ないと思われたのではないでしょうか?
 つまり100人いたら、たった4~5人にしか相続税がかからず、残りの95~96人には相続税がかからないということになります。
 ちなみに昭和62年(バブル期)の7.9%という割合がここ数十年で一番高いようで、それ以降は日本の経済状況を反映するかたちで年々下降してきています。
 
 ところで、よく「我が家は相続税がかからないし、家族の仲が良いから将来の相続争いの心配はない」などというようなことをよく耳にします。実際私も実家が富裕層ではないのでまったく心配していませんし、ほとんどの方が心配などされていないと思います。
しかし、この職業についてから、相続が起きいざ財産を目の前にすると財産の大小に関わらず欲が出てくるもので、争い事に発展してしまうというケースをよく目にしています。
 
 しかし、それはある意味仕方がないことだと思うのです。いくら仲が良い家族でも、それぞれが独立し家族を持つと家計の事情は日々変化していくと思います。
たとえば子どもの将来のための養育費にお金が必要だとしたら、目の前にある財産を欲しいと思うのは当然の事だと思うのです。自分の家族を守るためです。ところが、そのような事で仲が良かった家族や兄弟が醜い争いをしてしまう程悲しいことはありません。
この場合、ほとんどのケースが遺言書を作成することで解決すると思います。たった一つの遺言書が争いを防ぐのです。

 財産の大小にかかわらず、遺される人のためにも是非遺言書の作成をおすすめします。作成の際はお気軽にご相談下さい。

相続財産を寄付したい

 相続が発生したとき、相続や遺贈(遺言によって財産をもらうこと)によって財産をもらった人が、その相続財産を寄付したいとお考えになる場合もあるかと思います。そのような場合、何か特例はあるのでしょうか。
 以下の要件を満たす場合には、寄付をした財産には相続税がかからないことになっています。

□適用対象者   
相続又は遺贈により財産を取得した者

□対象財産    
その相続又は遺贈により取得した財産
(※相続財産を処分した代金を寄付しても原則非課税にはなりません)

□寄付の相手   

地方公共団体
特定の公益法人
(イメージ的には科学・文化・社会福祉などに貢献している法人とお考えください)

□非課税金額   
その寄付をした財産の価額

□寄付の期限   
相続税の申告期限内(相続開始から10ヶ月以内です)

□添付書類    
相続税の申告書に適用を受ける旨及び寄付をした財産の明細書を添付かつ、所定の書類を添付

□適用除外
その寄付をした者やその親族等の相続税や贈与税の負担が不当に減少する結果となると認められる場合

□注意点   
・寄付の対象となる財産には、みなし財産を含む
・生前贈与を受けた財産を寄付した場合には適用無
・香典返しに代えてする寄付については適用無
・特定の公益法人を設立するための寄付については適用無
(すでに設立されている法人でなければなりません)
・寄付を受けた相手が特定の公益法人である場合には、その法人が寄付を受けてから2年経過した日までに①対象法人に該当しなくなったとき②寄付を受けた財産をその日において公益事業の用に供していないときには、非課税が取り消される

上記の内容は相続税についての非課税ですが、その他に場合によっては所得税についても非課税の規定があります。相続税でも所得税でも、非課税の対象となる寄付の相手先は限られていますが、もしも相続財産の寄付をお考えの場合はお伝えいただければと思います。そして亡くなった方や相続人の方のご意思を尊重し、かつ税務上もメリットのあるように一緒に考えていきましょう。

お墓は誰が買ったらいいの?

次のような例の場合、どうするのが相続税節税の見地からはよりよいでしょうか。

 例)資産家のAさんが亡くなりました。Aさん家代々のお墓は遠隔地にあり、遺族は今後のお墓参りや管理のことを考え、新たに近場にお墓を購入しようと考えています。Aさんには配偶者Bさん(80歳)と1人息子のCさん(55歳)がいます。BさんはAさんの死亡により多額の財産を引き継いでおり、また、Cさんも自立して裕福な生活をしているため、お墓を購入するだけの資金は十分にあります。この場合、お墓は配偶者Bさんと一人息子Cさんのどちらが負担をした方がよいでしょうか。

 このような相談を受けたらBさんが負担した方がよいとお答えすることになります。何故ならばお墓は相続税が非課税の財産だからです。母親であるBさんが持っているお墓をBさんの相続により子のCさんが取得してもそのお墓に対しては相続税は一銭もかかりません。この例の場合、Bさんは多額の財産をもっていますし、高齢であることから将来Bさんが亡くなってしまった場合の相続税について念頭に置かなければなりません。

 例えば奮発して3,000万円のお墓を買ったとします。Bさんが買えばBさんの現預金が3,000万円減ります。先に述べましたようにお墓は相続税が非課税ですから、Bさんの相続財産が3,000万円減ることになるのです。しかし、息子のCさんが買うとBさんの財産は減らずCさんの財産が減ってしまう上にBさんが亡くなってしまった際には、Bさんがお墓を購入した場合に比べて3,000万円の相続財産に相当する相続税を多く支払わなければならなくなるのです。Aさんが亡くなった時(一時相続)は配偶者がいるため配偶者の税額軽減によりある程度相続税を抑えることができました。しかし、Bさんが亡くなってしまった場合(二次相続)には、相続人はCさんだけですので基礎控除額が一時相続のときよりも1,000万円少なくなくなってしまいますし、また既に配偶者がいないので配偶者の税額軽減を適用することができません。よってCさんの相続税の負担は一時相続のときに比べて重くなってしまいがちです。資産家の方はいろいろな節税対策を講じられることかと思いますが、このようにお墓を誰が買うかということも小さいですが節税の一つとして頭に入れておいてはいかがでしょうか。(なお、お墓のほか、仏壇や仏具も相続税は非課税となりますのでこれらについても同じことが言えます。)

相続税の税理士選び

 先日、地方のお客様から相続税の相談がありました。相続税の申告が終わって、税務調査を受けていたら、申告書の間違いがぼろぼろ出てきて申告を依頼した税理士に不信を抱いているという内容でした。

 話を聞くと、本来相続財産に計上しなくていい財産や土地の評価ミスを併せて、約9千万円も過大に相続財産を計上していたというのです。税率を20%とみても1,800万円も余計に相続税を納めていた計算になります。

 後で分かったそうですが、依頼した税理士は相続税の申告を殆どやったことがなかったのだそうです。
医者に専門の診療科目があるように、税理士にも得手不得手はあります。法人税・所得税に関しては、税理士によって大きく税額が変わることはあまりありません。しかし、相続税に関しては、専門にやっていない税理士事務所では、年に数件あるかないかの税目ですので、相続税が不得手な税理士が多いのも現実です。

したがって、相続税の申告が必要な場合には、
①相続税専門の税理士に依頼する。
②普段から所得税・法人税でお世話になっている税理士に依頼する場合には、「相続税の申告を今まで何件位やられてますか?」と確認し、大丈夫そうであれば依頼し、不安であれば、相続税だけは相続税専門の税理士に依頼した方が賢明です。

税理士は納税者(お客様)の委任を受けて、納税者の代理で申告書を作成します。したがって、申告後に申告内容が間違っていた場合に、税理士に全て任せていたので私は知らないと税務署に訴えても通用しません。税務署から見れば納税者と税理士は一身同体なのです。冒頭に書いた事例のようにならないためにも、相続税の税理士選びは慎重に行うようにして下さい。