ワンランク上の遺言書作り

 自分の相続が原因で、遺産を巡り親族間で争いを起こして欲しくないためにすでに遺言書を作成している方も少なくないと思います。

 遺言書の作成にあたっては、あとでトラブルにならないよう遺留分の問題や遺言書の有効性などに配慮して作成しなければなりませんが、この点(法律面)については比較的意識されて作成している方が多いようです。

 では、相続税(税金面)を意識して遺言書を作成されていますでしょうか?
 相続税は遺産分割の仕方によって特例の適用の有無が変わってくるため、納めるべき税金が大きく変わってくることがあります。したがって、法律面では一見有効な遺言書で遺留分も配慮した作りになっているのにもかかわらず、その通りに分割したら相続税法上の有利な特典を充分に生かしきれていないというケースがたまに見うけられます。

 相続税法上の有利な特典とは、主に「配偶者の税額軽減」と「小規模宅地等の減額特例」などがあります。前者は配偶者が財産を取得した場合、一定割合までは非課税となる特例、後者は居住用や事業用の土地を取得した場合、通常の評価額から要件によっては80%または50%の金額が控除される特例です。特に後者は、取得者の要件により控除額がかわってくるので、慎重に対応するべきです。

 また、各人の納税の可否についても配慮して遺言書を作成するべきです。例えば配偶者には、今後の生活を考え自宅と現金を配分し、子どもにはそれ以外の土地だけを配分した遺言書を作成した場合、いざ相続が起きたとき子どもは相続税を即納することができません。したがって、あらかじめ相続税相当分の現金を子どもに配分しておくか、あるいは物納までを視野に入れて配分をする必要があるでしょう。
ということで、すでに遺言書を作成している方も、税金の面から改めて見直しされてみてはいかがでしょうか?

 遺言書には、遺言者の意思を尊重すべきなのは当然のことですが、それに加えて将来の相続税を意識して配分方法を決め、法律面と税金面の両者を充足してはじめてワンランク上の遺言書といえるでしょう。