養子と遺言と相続税

次のような相談がありました。
財産が3億円あるAさんには、配偶者も子もなく、親も既に死亡しているためAさんが死亡したときの相続人は兄弟姉妹4人(B・C・D・E)です。そのうちの妹Bさんが同居をしてAさんの生活の世話をしているため、AさんはBさんに財産を全部相続させたいと考えています。この場合、考えられる方法は次の二つがあります。①BさんをAさんの養子にする。②Bさんに全財産を渡す旨の遺言を書く。それぞれの場合、相続税額はどうなるでしょうか。
①Bさんを養子にした場合
法定相続人はBさんのみになり、Aさんの相続に係る相続税額は約7,900万円になります。

法定相続人:1人   
基礎控除額:6,000万円
2割加算:適用なし
相続税総額:約7,900万円

②遺言を書いた場合
法定相続人はB・C・D・Eさんの4人です。親や子供以外の者が財産を取得することになるので相続税額が2割増になり、3,500万円×1.2=4,200万円になます。兄弟姉妹には遺留分がありませんので、Bさん1人が全財産を取得しても他の兄弟姉妹は何も文句が言えません。

法定相続人:4人
基礎控除額:9,000万円
2割加算:適用あり
相続税総額:約4,200万円

【結論】
①と②ではBさんが全財産を取得することにかわりはありませんが、相続税額は3,700万円もの違いがあります。これは法定相続人の数によって、相続税がかからない金額(基礎控除額:5,000万円+1,000万円×法定相続人の数)が違ってくるためです。法定相続人の数が多いほど相続税額は少なくなりますので今回の場合、遺言を書いた方が相続税は少なくてすみ、敢えて養子縁組をする必要はありません。諸事情を考慮して総合的に判断した上で、最良の方法を検討してみてください。